「まちづくり」について
今井裕さん(中小企業診断士・長野県商工会連合会事務局長)に聞いた。
地域固有の個性はどこにもあるのに、どこの町へ行っても金太郎飴さながらで、同じ顔なのはどうして?
魅力的な地域資源を持っていながら、手法を知らず、これを展開できないでいませんか。
単なる思い付きや目先の取り組みではありません。
情熱、やる気といった精神論でもない。
論理的な思考とシステム化した手順、そしてこれをマネージメントする人材が、まちづくりには不可欠だと考えます。
地域づくりの考え方を体系的にまとめ、地域活性化の視点や戦略を示す今井さんの自著
『地域デザイン法』(銀河書房発行・1994年)を紹介する。
=写真=今井裕さん
東御市商工会事務局長当時撮影。東部町と北御牧村の合併による東御市制発足に伴い旧商工会を合併統合、デマンド交通とうみレッツ号開設、「(市民に)なくてはならない商工会」をスローガンに中小企業の経営相談、企業の経営実務帳・経営川柳カレンダーの発行、食のイベントなどを次々と展開した。インターネット活用にも積極的。
『地域デザイン法』 (銀河書房発行・1994年)
地域づくりの新たなパラダイム、その視点と戦略を地域デザイン法として提言。地域づくり原論の書。地域デザイン法は今井さんの造語。およそ3千冊の関係資料本や実地調査の上にこの論はある。
目次
1.地域環境の変化
2.地域づくりの目的と課題
3.地域デザイン
4.システム
5.シンボル
6.ストラテジー
7.ストラクチャー
8.スタッフ
9.地域デザインの展開と戦略
10.地域デザインの推進
概要
地域デザインとは、地域のアイデンティの確立である。
これに基づき、地域づくりの理念と地域活性化策のトータルプランを策定、実行することを意味する。
地域デザイン法とは、その手法だ。
地域のアイデンティティとは、地域の主体性であり個性である。
個性は、地域の様々な特性の集合から生み出される。
この地域資源からの個性の創出は、
①地域資源の評価
②その特性の把握
③個性の創出―とステップを踏む。
そして、基本理念の明確化へとつなぐ。
まず、地域のあるべき姿を〝素描〟する。この素描はビジョンや〝理想とする視点〟である。
肝心なのは、経験に頼らず論理的に必然の結論を導き出すこと。現実から問題点を把握するでなしに、まず理想型をイメージする。
つまり、地域の将来の望ましい方向を夢をもって素描することがアプローチの前段。
次のステップ・地域資源の分析は、内部からの調査分析と地域を取り巻く外部環境の両面から、プラスとマイナス要因を分析。
こうして地域の特性を把握した中から、必要と思われる複数の資源素材をシンボル化する。
これをもとに、地域トータルプランの基本理念を創っていく。
この地域トータルプランは
①基本理念
②目的目標の設定
③戦略戦術
④アクションプログラムで構成する。
自然・産業・文化・生活・社会の5分野に体系化して分析する合理的でシステマチックな思考は、実行においても必要だ。
実施ブランは実行し結果を評価する。
評価結果は、さらにプランにフィードバックし、これを持続的に循環させていくことが肝心だ。
「最近になって、地域資源活用や地域ブランド、産業連携などと叫ばれるが、既に、そのことを書いている。依然として、地域づくりのあり方の理解が進んでいない。地域づくりは、地域資源の循環活用システムだ。著者として、『地域デザイン法』を再認識している」(今井さん)
参照
「中小企業のためのインターネット・イエローページ」http://www.avis.ne.jp/~hi/yp/hajime.html。
WWWサーバのホームページから中小企業向けのページを選択し、分野別に掲載しています。
知の工房 コミュニティ・シンクタンク上田 地域づくりと知の創出 http://ueda.ctv-blog.jp/u/hiw/archives/0000024638.html