昭和48年(1973)から38年間にわたり毎年開催の少年野球大会が長野県小諸市にある。
大会の産みの親、東健児代表の 渡邊幸千代さん(76・小諸市与良)=写真=に聞いた。
毎春、秋の2回、地元東信地方や北信地方の野球クラブおよそ三十余チーム、ざっと300選手が集う伝統の大会だ。
息の長いこうした大会は市などが主催し運営をあてがうことが多いものだが、主催は市内の少年野球チーム「東健児(あずまけんじ)。登録選手数24人のクラブチームだ。主管をスポーツ少年団指導者協会にゆだね大会運営の協力を得るものの行政の直接的な補助金はなく自力開催を続けている。
「お金はないですよ。1チーム5千円の参加費を運営資金にあてますが、チームの保護者会(小山宗一会長)の皆さんや審判団の協力あればこそ、ギリギリの運営です。子どもたちが大好きな野球に熱中している姿が見たい、応援したい、ただそれだけです。皆の思いもいっしょ。そんな想いがスクラムを組み輪となって、大きな力が生まれているのかもしれませんね」。
市内に試合会場を4ヵ所、2日にわたっておさえ、これを毎年2回。企業からの協賛金も求めず、大会にありがちな来賓の祝辞も「子どもたちには余計なもの」としてしない。「厳密に言えばスポンサーというものがないわけじゃないよ。例えば、市体育協会が企業協賛を得て作ってくれた優勝旗が一本あるし、市教育委員会も後援してくれる」
「才能がお金を生むプロの世界はそれとして、アマチュア選手まで銭にまみれた時期があった。きれい事では済まない一面があることは重々承知しているけれど、どこか妙なことになっている。無垢なものは無垢のまま、チビッコたちの無心さをそのまま受け止める大会があっていいでしょう」。自主独立の運営にこだわるのはそのため。無垢なものは純粋のままに・・・38年にわたり続く少年野球大会の主催者。
稼業は一般廃棄物運搬業。早朝から軽トラックで得意先のゴミ収集に走る毎日。高校野球が始まると連日試合会場へ。「大きく育った子が、きっとグランドにいる」。内野席にひとり陣取り、見守っている。