NPO生涯学習まちづくり協会理事長・福留強さん(聖徳大学人文学部教授・千葉県松戸市)
生涯学習を「一生涯、勉強すること」ととらえる人は多いが、これが全てではない。もうけること、生活を豊かにすること。漁師は一匹でも魚を多く、農家は美味い米を一粒でも多くと学び、この学習成果を生かすことも生涯学習だ。
何でもありの自由な発想の下、一人ひとりの生きる力をまちづくりへ連動させること。まちづくりとは、地域に関わり、自らを生かす活動の総称だ。市民主役の社会ということだ。
これはもう、潮流である。
ミノムシ男とオバタリアン女
定年後の男性の8割は〝ミノムシ男〟だ。
茶系かグレー系のパジャマやジャージ姿で一日中すごし、テレビの前でゴロゴロしている。外出を好まず、予定がなく、いくらでも眠る。
今日は何処へ出かけるのか(付いていく魂胆)と妻に問い、自分の世話を求め、食事の時間をやたら気にする。口は動くが手足動かず、中高年男性の実態だ。
仕事一筋で暮らしを支えてきた会社人間の生態を〝生ゴミ〟にかけた川柳がある。生ゴミ(中高年男)を、朝出したのに、夜帰る・・・・どう?これ。
女性にしても〝オバタリアン〟と・・これには、どこか怪獣・珍獣の趣がある。
夫を夫と思わず顔をそむけ、振り返って命令を下す。その顔に化粧はなく、夫との因果で哀しく変貌というべきか。主人在宅ストレス症候群、そんな女性も目立つのだ。夫の外出、妻へのボランティア・・・といったところか。
いくつになっても美しくありたいとする思い、これもまた、生涯学習であることを知って欲しい。男性用公衆トイレに群れをなしなだれ込む中高年女性・・・大胆かつエネルギッシュなパワーこそ大事。何にでもチャレンジできると思うのだ。
若さと馬鹿さのバランスを
一線を退いた者たちは余る才能を持ちながら、家にこもり、これまで、地域と結びつくことはなかった。明治時代の男性寿命は約43歳、女性45歳。世界最長寿国へと登りつめて行くのは戦後昭和22年から。
壮年や老人と呼ばれる世代を前向きにとらえ、「創年」と呼びたい。実年齢の七掛けをわが歳とし、自分のやりたいことに、若さとバカさのバランスをとりながら熱中する。今が旬のとらえ方、それをまちづくりに連動させることができれば、地域色豊かなまちが生まれる。
創年宣言を機に、創年のたまり場、創年市民大学、創年学、創年ネットはいかがなものか。そこに行けば土地のことは何でも分かる基地になる。その溜まり場が全国にあれば、「創年のたまり場遍路」というようなツアーも可能で、これは、新しい形の観光だ。
まちづくりは行政に頼らず、市民の手にある。これには市民が学ぶ場を作るしかない。学びの場は二人いればできる。
定年後をどう生きるか・・・生きがいの時代だ。全国生涯学習まちづくり協会主催の『地域アニメーター』や『まちづくりコーディネーター』をおおいに勧めたい。