薄化粧

天気予報が言う「赤道上から来るしめった大気」は蓼科山を越えてくる南風。「大陸からの冷たい季節風」は、浅間連山に沿って走る西風だ。天に向かって両手をひろげながら、ボクは雲を仰ぎ見ている。頭上で渦巻く二つの風は、未明になって雪を運んだ。

 いつまでも暖かさが続いたせいで、さぶくてさぶくて(寒くて)たまらなかった。里に初雪が降った。おお寒、小寒、山から小僧が飛んできた……ハテ、どんな面した小僧が飛んできたのかな?

風が凪いだ。立ち枯れの草木に、雑木林に、屋根に、振り落ちる時が止まっていた。

 

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