シアワセ

ちょっぴり永遠というようなものを刻み付ける日があるものだ。ほんの一瞬が永遠に忘れえぬひとコマになる…そんな日がある。なにも歴史的な出来事の話ではない。何気ない暮らしの中で感じたシアワセ。クリスマスやお正月に家族がそろうこと。同窓会や仲間との飲み会。そして大好きなあの人と…みんなちょっぴりの永遠だ。

 昨年のクリスマス、ボクは猫と一緒だった。テレビも七月の停波とともにやめた。ラジオがあるから大丈夫と思っていたが、どうでもいい話がやたら多くて耳障りで聞かなくなった。静かな静かな夜だった。生まれてこのかた初めてヒトリボッチですごしたイブかもしれない。

「さびしかったの?」

うんにゃ、そうではない。たかだか数日のヒトリボッチだ、何をか…ところが、煙草が切れて里のコンビ二へ出かけた時、店内にクリスマスソングが流れていた。聞き入る自分がいた。その時、不意にこのヒトリポッチが胸をついたのだ。クリスマスソングを聞きながら幼い我が子とすごした時が甦っていた。それはとても温かな寂寥だった。永遠というようなものを、知らず知らずに刻みつけてきた自分をふと思った。

 夕刻から山に舞った雪が、冷気と一緒に里に下り、夜半からホワイトクリスマス。静かなヒトリポッチの晩だった。

 

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