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谷嶋成仁 清く正しく美しいオカぁチャン無しでは多いに困るの老人

案山子(かかし)  東御市御牧原北部

案山子110月1日午後3時頃、東御市御牧原地区御八城大橋東方面の御牧原へ上る沿道で、熊の目撃情報がありました。農作業、登下校時は音の出るものを携帯する等、十分に注意を=10月2日13時42分東御市緊急情報配信メール=   有線放送がまだ健在なら、熊も逃げ出す大音響で昨日のうちに知らせてくれるものを、熊の目撃から丸一日たってようやく届いた緊急情報だった。   「牧ヶ原に熊が出たですか、ホゥ珍しや。季節的にちょっと早いのとちがいますか」 「御牧ヶ原台地へと登る峠道辺りらしい。鹿や狸、狐なら知らず熊とは珍しい。里にかなり近いが手入れせんから里山とも呼べぬ荒れ山じゃ。人と獣、互いの境界線上に案山子でも立ててみましょうか」 「案山子といえばイロイロ。爆発式のスズメ脅し、鹿除け電気柵、風車型モグラ除け、点滅の赤色常夜灯、カラス除け黒ビ二ール、鳩除けには派手色の新聞チラシが効くそうですな」 とは、いささか暢気な茶飲み話。

案山子首案山子の効果はどれ程か…以下創作。

「ありゃ化物だ、黄泉の国からおいでなすった闇の支配者、かなうわけねぇ」(狸) 「とうとう出たか、緊急事態じゃ、カラスやトンビ、雀とも相談してくる」(狐) 「カラスと共闘するつぅことですか、勝ち目ねぇのに…..」(ムジナ) 「ムジナ、狸、ハクビシン、日本鹿、モグラや熊にも非常召集かける!」(狐)  「おォ!伝説の御牧原連合つぅわけですかぃ、天地に巣食ってる族が一致団結、総動員となれば、かッ、勝てるかもしんね」(狸)

 夜中に見たらボクだって腰を抜かす出来ですからなぁ(谷嶋)。

案山子人案山子子

故郷は近くにあって想ふもの

北部区533 日本国 長野県 東御市 御牧原…….どんな所ですかと遠方の方に聞かれて、さぁ困った。

「近くに東京スカイツリーがございますのョ、オホホのホ」と誰にも分かる嘘をついて煙に巻いてもよかったけれど、自分が暮らす土地をまともに紹介できぬにようでは「呆けた」と思われかねない。

出身を聞かれ、いつも口を衝くのが 「浅間山がある小諸の、隣町」…..わが身を語らず近所の有名人を引き合いに出すとはナニヲカいわんや。

我が町東御市は平成の合併で立派な名を冠した。東の京より格上の東の御所(おんところ)…東部町と北御牧村の両者から一字取ってくっつけただけの話なのだが、東京あたりがどうってことなかった古い時代からこの地は皇(朝廷)と深い縁があった。

しかし、東京より格上と喜んだのも束の間、誰もこれを「とうみ」と読んではくれない。「トウゴじゃねぇし!ネット検索すると、と海だの豆殻飛ばしのとうみ(唐箕)が出てきて東御がねぇし!」などとゴネテみた所でどうにもならない。わが身の在処を語れぬのは恥だからちょっと思案…..

「世界中が注目の長野冬季五輪を招いた長野市まではちと遠く、新幹線は目と鼻の先を走るけど地下通過、最寄駅まで車飛ばして三十分余。コレマタ世界的な軽井沢は若干東の彼方、小諸なる古城のほとりに近く というよりは、千曲川旅情の崖っぷちにあって、昔は野っ原で馬、飼ってました」….やはり締まらない。

そこで、 「どんな所ですか?あなたのような素敵な方がお住まいですから、さぞかし…..」と来たら、「お察しの通りです。この地を囲って独り占めしたいほどです。ホレ、この通り」

ボクはこの写真を見せるとする。

 

帰ろうかな

畦道 今日からボクは一人ささやかにキャンペーンを張ろうと思う。名付けて「こっちの水はうまいぞキャンペーン」。都会暮らしの信州東御の息子や娘たちに向かい、「ソッチの水では腹もくだそう、まずかろう。帰っておいで」と呼びかけたい。故郷を離れた誰しもが思う郷愁の、その一瞬のノスタルジーに付け込み、若衆を引き戻そうと思う。

帰ろかなぁと思った時が都会暮らしの潮時だ、後先なんぞ考えたのでは元も子もない。故郷に錦などいらぬから、娘も息子も連れ合いもみんなひっくるめて己がシアワセのため、「荷物まとめ戻ってこいよ」と伝えたい。

夏がいく 道

高度成長期を遠の昔とする今でさえ一極膨張を続ける 大都会。進学や就職で都会へ出て行く傾向は今も昔も変わらない。

思えば新幹線誘致時の地元の謳い文句は、都会向けの誘引だった。「新幹線で首都圏を結べば通勤圏内になる」とは結局、都会のリタイア組や週末犬連れ散歩組を呼び込むばかりだった。別荘の固定資産税収入を地元住民に還元できる極寒多湿の国際的避暑地ならまだしも、先々何かと厄介な年金族を招くばかりの能では「お話にならん」とボク思う…..イッチマッタ。「道が開いたら行ったきり、可愛い我が子は行ったきり。この先お墓は誰が守る」とすがる想いの親心。我が家のほぼ真下の地下を行き交う新幹線は井戸水も枯らしただけのシロモノで、子らの帰省はいつも安運賃の高速バスだった。

そもそも暮らしというものは基本的に、どこであろうがそう変わりない。大凶作で餓死する危惧が田舎にあるならいざ知らず、今時どこでもコンビニはある。東京だろうが東御だろうが似たような暮らし向きだろう。ならば一層尚のこと….暮らしの苦労は故郷でと腕を広げて迎えたい。一区切りつけて還っておいで…..その先はどうにでもなる、ケセラセラ……

yuu空

都会暮らし十数年余の末に帰省帰着したボクの話をしましょうか。かれこれ四十余年前、ボクは首都圏に居て、学生時代はもっぱら土木工事のアルバイトで暮らしていた。現場の事務所兼労務宿舎を下宿先として、現場が変わるごとに転居しながら都内へ通学した。学費も何もかも土方仕事でまかなう見上げた根性の苦学生….という線は崩さないけれど、「個室、飯付き、風呂付、タダ酒ふんだん…私に比べると随分恵まれた馬鹿ボンボンだったのネ」(おかぁちゃん談)と言えるかも。

現場と飯場と学校を行ったり来たり。飯場暮らしの学生だから自ずと友人は現場の人、九州や沖縄や東北からの出稼ぎ衆だった。宿舎の食堂にいるとお国訛りのルツボであって、当初は何を話しているか分からなかった。「こっち来い、一杯どうだ」 とその辺は感で分かるとして酒が回るとサッパリ….

「ヌシャ、ドぎゃんもコぎゃんも、ぎゃぁギャぁギャァ」と言われたところでチンぷんカンプン。若輩者可愛さの杯に甘え「んダンダ、ナンモカンモそん通りタイ」などと東西ごちゃまぜで相槌打っていたこともあって自前の言葉さえ怪しくなった。東京近郊の地元の者にしても同じくイントネーションが妙なうえ、語尾に必ず「そぅジャンいいジャン」とジャンが付く。競輪好きの洒落を借りるなら「ジャンが鳴る (最終周回時に鳴る鐘)」だ。東京人たる人の多くは頼もしく穏やかであるとは承知するものの、それにしたってお前、お前の連発はない。生意気な連中としか覚えていない。沖縄人は皆やさしくて憎めない標準語の使い手だが仲間内に入ると外国語同然…..一つ国ながらお国言葉は多彩。ボクの都会暮らしは、訛りの渦というよりは、人種の坩堝(ルツボ)といえるのかも知れない。カルチャーショックを感じたものだ。

この国は一塊に見えるけれど、多様な土地に土着する者の集合体だ。生まれ土地が育んだ気質というものは生涯変わらず、国によって信州人と人(ジン)が付く所以だろう。都会に人が集うのは当然、銭金勘定、通語は円弗仕立てと….イッテヨイモノカ?

この信州東御にもある土着の気質….それがどれほどのものかは置くけれど、故郷とは根っこ、忘れようたってできるものですか。水が違えば人も変わっていくのかな?故郷の水は美味しいぞ。

池あぜ道

夕焼け胡桃

あぜ道胡桃の木

銭を喰らう魔物かな//市文化会館自主文化事業

 人の趣味趣向は多種多様….個人が身銭を切って好きな道楽に興じる分には誰も文句は言わないが、その銭金が公費(税金)となれば話は別だ。これまで、「特殊な専門分野」であるなどを理由に見過ごしてきた伏魔殿。「文化」という名の金喰い魔物をあぶり出しましょう。記事カテゴリー「ノンノンフィクションアワー」の開演です。

2月16日(木)、東御市文化会館運営委員会。この席で、総額ざっと2200万円の年度会館主催事業の概要が固まった。文化会館自主文化事業の予算額は前年比600万円減の1800万(18,367,000円)。昨年、開館20周年記念の能楽など大型公演を終えたものの、未実施の開館記念事業(文化協会合唱部会による市民運営委員会方式によるオペラ公演)の繰越し実施分450万円を合算すると、実質2,280万円となる。

公演内容を含め、こうした内部の事業計画は求めない限り、一般公開することは滅多にない。文化会館(民間NPO)にすれば公演日程の変更や中止などの可能性もありえることから計画段階の事前公開は避けたい方針だが、事業計画はもともと公開原則にしたがうべき筋の情報だ。すでに運営委員会という公の席で報告承認した時点で公開すべきと思うが、行政もまた、幹部クラスの判断を待たねばならぬほど公開に慎重だった。この自主文化主催事業費は現在、市議会で審議中の来年度予算教育費項目に大枠で含むものの、市文化会館指定管理業務委託費(NPO収入)68,051,000円 の内で処理され表記されない。肝心のところが藪の中では、原資の税を託す市民はまるで木偶の坊(でくのぼう)の扱いと、ボクは思う。

市行政(市教委・社会教育課・生涯学習係)は、会館条例や指定管理委託契約をラインとして、現場(指定管理団体・NPO)の具体的な企画決定には直接的に踏み込めない。「興行公演などは特殊で専門的だから一般には扱えない」といった文化行政の及び腰もある。しかし、行き過ぎた現場任せは、地域文化の柱となる会館本来の意義(地域文化創生など)の基本的使命までも、指定管理企業にあずけ放棄することにつながりかねない。芸能興行の特殊性(配給会社との折衝や契約、公演準備ほか)を理由に、文化会館を一部の者だけの伏魔殿と化してはいけないということだ。

 自主文化事業とは、開館から20年にわたり毎年2千万円規模を注ぎ込む会館が企画する公演。現在、同会館を五年契約で指定管理する民間NPO法人が作成した。文化会館(NPO)は、市民からの要望企画をどう汲み上げたか。会館運営を仕切るこの委員会の提案をどう盛り込んだか。さらに、「文化会館を考える集い」であがった市民要望は反映しているか。公演個々に市民文化醸成の精神はあるか。 

 さらに、文化会館運営の基幹を担い将来を見越した運営構想や戦略を徹底的に審議するはずの運営委員会(市長委嘱、11人構成=文化協会長・社会教育委員・子育て団体代表・公民館長・校長会長・老人クラブ連合会長・小中吹奏楽部顧問・農業青年クラブ・公民館講師パート=)も既に、指定管理団体(NPO法人)に全面的に依存し形骸化している恐れはないか。「運営委員会は事業計画の審議機関ではない」(NPO法人)…事業計画は運営委員会への報告説明を終えた時点で実施に向かう。ここに文化会館の将来を見据えた方針や戦略はない。文化会企画そのものを提案する公募制度やこれを審議する制度が未整備であることもあり、会館主催事業は指定管理団体の今や独断場だ。さらに言えば、この運営委員会の前委員の中にはNPOから直接業務委託を受け、報酬を得る者も出るというお粗末さ。これが社会教育委員までも兼任していた事実があるのはどうしたわけか。

関係の皆さんに代わって、東御市文化会館自主文化事業計画を公開する。

 「文化」についてのボクの判断基準はただ一つ。私の暮らしにそれは必要か否かだ。たとえば、喰わねば死ぬ主食のお米と公演を比較してみる。ちょっと極端だが、残り少なくなった米びつの蓋をあけて、米を買うか、それとも芸能チケットを買おうか、と考えてみる。

公演の主役は、テレビにやたら出てくる有名人だとか、可愛いくて顔が小さいとか、やさしいとか、歌がお上手とか、オペラや能楽は高尚なもんだとか、これぞ芸術とか…そうした評判はどうでもよい。明日の米とひきかえにできるかどうか….これが基準だ。

今年度市文化会館自主文化事業計画(※現在企画中の事業も含む)

 1、6月開催 「ベッキー(サンミュージック)」  ▽事業費 630万円 (出演料等380万円) ▽入場料等 3千円(赤字見込327万円)▽出演料 380万円 ▽宣伝広告、音楽著作権料 60万円 ▽人件機材外注関係 90万円

 2、6月開催 「メリーウイドウ、新たな一歩開館20周年記念事業(合唱部会)」(前年度繰越事業) ▽事業費 450万円 ▽入場料 2100円(赤字見込300万円) ▽出演料等 350万円 ▽宣伝広告費、音楽著作権料 20万 ▽人件、機材、外注関係 80万円

 3、9月開催 「演劇『モモ』 劇団・うりんこ公演」  ▽事業費 250万円(入場料1000円) ▽出演料等 198万円 ▽宣伝広告、音楽著作権料 32万円

◇演劇体験講座 ▽事業費 80万円(入場料1000円) ▽出演料等 57万2千円 ※公演事業と講座を併せ、赤字見込額290万円

 4、9月開催 「映画、昔の名作選、『ローマの休日』ほか」 ▽事業費 34万円(入場無料、赤字額32万円) ※委託業者未定(約25万円)

5、11月開催 第2回市総合文化フェスティバル(文化協会) ▽事業費 25万円 ▽入場無料

6、12月開催 クリスマスピアノコンサート(公募発表会) ▽事業費 30万円 ▽入場無料 ▽出演料等 15万円

7、時期未定 市民参加型イベント(3月頃を予定) ▽事業費 90万円 ▽入場無料※公募による企画採用、ホールのみ開催 ※実行委員会による運営

8、2月中旬 「木の仕事展」 ▽事業費 28万5千円▽入場料 1000円▽販売

9、年5回 ホールミニコンサート ▽事業費 568万円 ▽入場料 1000円(売り上げ150万円、赤字見込418万円) ▽出演料等 500万円 ▽宣伝、音楽著作権料 63万円

10、月1回 FMとうみ「夜会」 ▽事業費 201万円 ▽入場料 100円 (赤字見込 195万円) ▽出演料等 132万円 (12グループ出演)

 文化をことさら高みに祀り上げる人や、芸能タレントに明日のお米と同等の価値を認める人は、きっと論外な見方となるに違いない。今年度自主文化事業、その芸能公演、文化公演は、必要か……

もう一度確認するが、「ベッキー(サンミュージック)」 ▽事業費 630万円 (出演料等380万円) ▽入場料等 3千円(赤字見込327万円) ▽出演料 380万円 ▽宣伝広告、音楽著作権料 60万円 ▽人件機材外注関係 90万円…..事業費630万円を大雑把ながらお米に換算すると白米14,5トンだろうか。

一人の芸能人を囲む食卓に、特級銘柄のブランド米630万円分(白米10㌔袋4500円)14㌧が用意された。7百人ほどが集まり、2時間ほどの晩餐会だった。この日一番の大食漢は舞台上の芸能人で、用意した飯の半分以上、およそ8400㌔㌘、市販にして380万円分を一気に喰って見せる。むろん一人じゃ喰いきれないから、お付の者も陰でこれを喰う。用意した残りの米は、地元の広告屋やらなにやら晩餐会産業に味をしめた者への振る舞い飯だ。「みんな最高!お腹いっぱい食べるのよ。よく噛んで味わいながらね!」…集まった7百人余は、それぞれに自宅から白米7㌔㌘を持ち寄って一緒の食卓に座った。しかし、自分が持ってきた米を少し食っただけで、それ以上は喰いきれるものではない。 

 ノン・ノンフィクション 『大飯喰らいのキャサリン』 へ続く

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朝日新聞WEEKLY「AERA (アエラ)」にチョッピリ協力

かの有名週刊紙に載りました…ナドト、他人様のふんどしお借りするような真似は好きではない。資本金が何億だとか、発行部数が数十万部あるとか、そうした影響力を誇示するメディアの大看板には、敬意を払いこそすれ、どうでもいい。そもそも同業であり、ライバルである。

無名とはいえ、ダデヤDA-DEYAは自由に創り生み出す世界にいる。零細弱小の経営事情でさえ「清貧」というものであって、自主独立のネットジャーナリズム世界に身を置いている。とは言うものの…

我が家(ホームページ)は、編集発行人の常々のテイタラクのせいで危機的状況にある。お手柄とおぼしきモノは、多少尾ひれをつけてでも披露しておかないと、身内の信用さえ失いかねない。背に腹は変えられずというわけで…

朝日新聞WEEKLYAERA 10月3日号「原料は放射性下水汚泥、汚染肥料を無料配布」=記事・ジャーナリスト樫田秀樹さん=の掲載にあたり、写真原稿を提供したことを報告します。以下、東京で学生生活をおくる次男坊への電話報告をもって、この顛末の記事とします。

「 もしもし、元気にしてるか?…ご飯は食べているか、米はまだあるか?ジャガイモ送ってやろうか(中略)…」

「お前がネット情報強者であることは重々承知している。紙媒体はすでに時代遅れだと思っていることも分かっている。しかし、突然の話でなんだけど・・東京は中央区築地界隈の朝日新聞社を知っているか?昔、西洋ネズミのところ(東京ディズニーランド)へ連れって行った時、首都高速道からその本社ビルを見たことがあると思う。そのビルに同居する系列の朝日新聞出版という会社がある。そこがアエラという週刊紙を出しているのは知っているか?

細かいことを言うようだが、(株)朝日新聞社(秋山耿太郎代表取締役、資本金6億5千万円、社員数約5316人)の直系である(株)朝日新聞出版 (宇留間和基代表取締役社長、資本金8千万円、社員数約175人、売上高約132億円)が発行する朝日新聞WEEKLYAERA (尾木和晴編集長、発行部数246,592、定価380円)だ。

ん?話がチンタラとまわりくどい…電話料こっち持ちなんだから、お願い!も少し黙って聞いて頂戴。

そこに腕のいい記者さんがいて、俺が書いたダデヤの記事にいたく感激して、写真だけでも拝借したいと言ってきた=ダデヤ掲載 7月24日付=数多の報道記者さんたちが昼寝している隙に、一応スッパ抜いた記事だ。おそらく仁義を通したのだと思う。本来なら編集長さんじきじきにお願いして欲しいところだが、天下の大看板の頼みとあっちゃぁ、ムゲにもできまい。お前も知っての通り、震災報道で「放射能がくる」って防護用マスクの写真付きでデカデカと表紙に載せる姿勢=AERA 3月28日号表紙=が俺は好きだから、写真を貸すことにした。

掲載になったら駅の売店にでも売ってるから、見て欲しい。ナヌ?一冊380円なら豚丼特盛り喰えるってか…わかった、わかった!寸志ぐらい出るそうだから、今度、東京から戻った時に、その分ご馳走してあげる。焼肉食い放題にでも行こうじゃないの」

※その後一年過ぎても寸志は出なかったので、もはやこれまで。

参照 ▽ジャーナリスト樫田秀樹さん http://homepage2.nifty.com/kasida/ ▽アエラ http://www.aera-net.jp/ ▽ダデヤda-deya http://da-deya.com/?np=14

 

シアワセ

ちょっぴり永遠というようなものを刻み付ける日があるものだ。ほんの一瞬が永遠に忘れえぬひとコマになる…そんな日がある。なにも歴史的な出来事の話ではない。何気ない暮らしの中で感じたシアワセ。クリスマスやお正月に家族がそろうこと。同窓会や仲間との飲み会。そして大好きなあの人と…みんなちょっぴりの永遠だ。

 昨年のクリスマス、ボクは猫と一緒だった。テレビも七月の停波とともにやめた。ラジオがあるから大丈夫と思っていたが、どうでもいい話がやたら多くて耳障りで聞かなくなった。静かな静かな夜だった。生まれてこのかた初めてヒトリボッチですごしたイブかもしれない。

「さびしかったの?」

うんにゃ、そうではない。たかだか数日のヒトリボッチだ、何をか…ところが、煙草が切れて里のコンビ二へ出かけた時、店内にクリスマスソングが流れていた。聞き入る自分がいた。その時、不意にこのヒトリポッチが胸をついたのだ。クリスマスソングを聞きながら幼い我が子とすごした時が甦っていた。それはとても温かな寂寥だった。永遠というようなものを、知らず知らずに刻みつけてきた自分をふと思った。

 夕刻から山に舞った雪が、冷気と一緒に里に下り、夜半からホワイトクリスマス。静かなヒトリポッチの晩だった。

 

御牧原台地にて

 御牧原に引越してきて間もなくの頃だった。夜中に高校生のセガレが言った。

 「あ~コーラが飲みてぇ。今すぐ飲みてぇ~ッ!」

 冷蔵庫の中にないと分かると 「クソッ!俺には炭酸系が必要だってわかっていやがるくせに….神様、シティーボーイのこの僕に真っ暗闇の夜道を歩いて買いに行けとおっしゃるの?….無理ッす!」  以下、当時のセガレ№1のコーラにまつわる御牧原 (※文中、サシサワリある発言があります、炭酸系禁断症状の者の話、御容赦のほど)

缶コーラの自販機が近くにあるって?どこサ…?火の用心やぐらの 向かいにあるアレか…あそこだけボーっと灯りがともって自己主張してるヤツ….やっぱ、夜中に出るの怖えしッ!

虫がワンサカたかって、蛙がペロペロ舌出してへばりついてるに決まってる……嫌だしッ、ぜってぇ~嫌だしッ!!….俺は全部の虫が怖くて嫌だって言ってるんじゃないよ…わかってねぇな~、俺、虫アレルギー!刺すやつだめ!からだよわいし、避けて当然。・・・なんでこんなひ弱にうまれちゃったのかな?先天的に俺に責任ねぇし。

オヤジは厳しい自然の摂理つうのが分かっちゃいない。いいかい?他人の話に耳をかした事がないその耳をカッポジッテ聞いておくれ。コーラが飲みたい→自販機へ行く→虫がいる→蛙がいる→その蛙を狙って蛇がくる….自販機の上でトグロ巻いてるかもしんね….行けるわけねぇし。

この闇の中をシティーボーイがひとりぽっちで歩いたとしようぜ。小銭と懐中電灯と…おっと、キンチョール忘れちゃいけねぇな! つまり、いろいろ用意して行ったとしようぜ…(ばかばかしので中略)…そんでもって、自販機の前で、ヤレヤレつぅ感じで、コーラ取って、プシュッと蓋あけて、グビグビして、プふぁ~!なんつって一息入れたりするわけョ。それが油断なんだな、気をぬいちゃったら最後、もう帰ってこれねぇ…オシマイよ!

炭酸系がじわ~ッと体にしみわたり、充填レベルが正常値を回復、安心したその時、田んぼの蛙ちゃんの声が一斉にピタッと止む、 と思ったら、背中から、『私にも』 なんつって…ずぶ濡れの長い髪した貧血女が列作っ て並んでたらどうすんだ!

なに?近くに小さな御社(おやしろ)があるから守ってくれる、てか?…そんなもんまであんの!化け物が出るから建てたに決まってるじゃねぇか!…こぇ~!ホレホラ、鳥肌たってきちゃたゼ。iいやな土地へ越してきたもんだな….あのナントカ大橋に変な青い色の街灯いっぱい取り付けたのは、出るからだッて聞いたぞ。橋から何人も川へとびこんだんだってさ。…..どこへ行ってもこのあたり…..ウジャウジャだ、 うじゃうじゃ!

誰か、俺が歩くと感知して、真昼間みてぇにしてくれるでかい投光器、付けてくんねぇかなぁ……..お願い!車でチョチョッと峠を下り、コンビ二までひとっ走りお願いしまぁす…..たった往復2、30分じゃないッすか …ねぇ、おと~さまぁ~。あなたの運転テクニックなら軽トラの尻振って、行って来いで15分?イヨッ、峠のドリフト大魔神!超はえ~!

あの谷間のコンビ二、昼近くになってようやく陽があたるんだよな。 そんな谷間のコンビニでも俺達には命の綱よ….湿気った谷間じゃ、ポテチにカビふいてねぇか、俺シンパイ!…冗談だよ、冗談に決まってんじゃね。…ちょっと思いついたけど、俺がコンビ二の店長だったら、新しい看板作って道端に置く。どんな看板か聞きたくねッ↑? 「この街道、最後のコンビ二です」って看板、どう?…だって、最後じゃん!あの先ず~と店ねぇし!ママチャリ転がして行ったことあっけど、行けども行けどもコンビ二なんかねぇし!ほんとだし!…..アッ、また思い出した!あのコンビ二へ夜中に行くと必ずカブトムシ落ちてるって小学生が言ってたぞ、掃いてかき集めてくればいいって……カブトムシも明るい所に炭酸系あるって知ってんだな。

あれ?一緒にコーラ買いに行ってくれるの?ちょ、ちょっと待ってて!…….俺、ほうき、持ってってみるわ!

 

三界の供養塔

震災から数日後の罹災地の映像が今も脳裏に焼きついている。

「行方知れずの身内を探しあぐねているのかもしれない…」 テレビカメラは一人の婦人の深くうずくまった後姿を写していた。倒壊の自宅から探り出した衣類を着込み数日をしのいだであろう、丸く膨らんだ重ね着姿のその婦人は、自衛隊車両が行きかう泥濘の道にしゃがみこんでいた。  彼女は、しきりに指をからめては汚れを落とすような仕草を続けていた。こすればこするほどまとわり付くヘドロの滑り… 灰色に染まる泥の爪先を見つめながら、ただ呆然とした様子でせわしなくそれを繰り返していた。その指先が小刻みに震えていた。見放せば彷徨い(さまよい)かねない自我の意識を、懸命に繋ぎとめているかのような両の手だった。瀬戸際で持ちこたえた命がまだ紙一重の危うさの中にいる気がして、いたたまれなかった。  ニュース情報を漁ればあさるほど、殺伐とした思いがつのった。土壇場で役にたたないこの国の政治…と思った。国はいらないとさえ思った。テレビ中継の画面を相手に毒づいていた。 しかしそれが内を向いた。「オマエ二いったい何ガ出来ルノ?」

あの日、ほぼ同時刻に地面が揺れ、その後も地震速報が出る度に身構えたというのに….あれから9ヵ月が過ぎた今、2万人もの無二の人々が一時に失われたというニュース=死者数1万5841人(うち身元不明約680人) 行方不明者3493人・警察庁12月9日=をまるで遠い雲をながめるように聞く自分がいる。町の食堂で震災向けの募金箱につり銭を入れることはあっても、ボクが何かの役にたった、などと言えるはずもない。

かつてボクは大仰に書いたものだ。「いかなる時の流れも、いかなる混迷も、全ては個に帰結することを思う・・・唯一無二の輝きを放つ者、それもまた、この個だ・・・・」と。今ここにいる自分を基軸にしないで何を伝えるというのか。私のニュースは身の丈でいい。自分が責任をもって言えることだけを記していこう…そんな思いの中で書いた信条だった。

全ては個に帰結する・・か、それはあたりまえな事なのだが、震災で失った命の数を前にする時、ずいぶん冷酷な言い草であることだらう。ナラバ、オ前ハ、コノ先、ソノ 無二の輝 トヤラニ、どう向き合っていくノ?

ボクはもう一度ここから考え直さないと、何も始まらぬ気がしている。

 =写真=三界供養塔(立科町芦田

 

薄化粧

天気予報が言う「赤道上から来るしめった大気」は蓼科山を越えてくる南風。「大陸からの冷たい季節風」は、浅間連山に沿って走る西風だ。天に向かって両手をひろげながら、ボクは雲を仰ぎ見ている。頭上で渦巻く二つの風は、未明になって雪を運んだ。

 いつまでも暖かさが続いたせいで、さぶくてさぶくて(寒くて)たまらなかった。里に初雪が降った。おお寒、小寒、山から小僧が飛んできた……ハテ、どんな面した小僧が飛んできたのかな?

風が凪いだ。立ち枯れの草木に、雑木林に、屋根に、振り落ちる時が止まっていた。

 

シムシム教

俺は死ぬ」….アッそぉ  「俺はシム」….ふ~ん  「おっれは、必ず、シム!」….はぁ~?   「俺さまは…悟った!」….やッかましいわね、わかったてば、あんたは死ぬのね、アナタも私もそなたもこなたも皆いつか死ぬわけね。あたりまえのことじゃ!

オカアチャンと死について語りました。

あれ?わかったような口きくね~、そんないつかネみたいな余裕かましたシムじゃね~やいッ。禅的にだね 『シム』のなんたるかを俺は悟ったわけよ

あッそッ!お好きなように。

あんレ~?俺が死ぬって言ったらせめて どうして?とか言うのが筋じゃないの、長い付き合いからいって….. 保険持ち出して「いつ死ぬの?」って返されるのも困るけど、「いつでもお好きなように」 てな言い方 ハラタツ!

はぁ~?

いいからお前さんも一度言ってみなさいよ 「私はシム」って。そのうちとか近々とか、ソ~ュ~面倒くせぇことはとりあえず抜きにして、口に出して言ってみな。タチマチわかっちゃうから。だからネ、のどチンコ震わせてシムって言ってみろッてんの!

はいはいッ、ワタシハシム ワタシハシム、ワタシハシム、三回でいい? もっとする?

……もっとする?じゃなくてモットシテだろうに、うッふ~んチャッテ

バッカじゃないの!いいかげんにしなさいよ

 いいから、まじめに サ、心を落ち着けてだね….深く息を吸って、吐いて…..気を入れて試してみなさいよ….お前さんの為を思って言ってんだから。じゃあ見本ね….俺ハぁ~死ぬフぅ~

深呼吸してからネ…………私ふぁ~死ぬフぅ~……….

 どうだい?

………..なぁ~んも、ナイッ!

そんなはずはない。死ぬ事がなんだかこう、気持ちよくわかっちゃって、心がなんツ~か、パァ~ッと開けたような…..悟りだ悟り

いったいなんなのよ、それッ!

だからネッ、教えてあげるからよくお聞きなさい…みんな皆、お互いシム間柄なんだから仲良ししようねッテ、そんな気持ちにな~る

さようでございますの?それはサゾカシ…….おめでたいことでございますこと…アホンダラ教の神主にでもおなりくださいませ…..ホント、死にそうだわ!