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晩秋

花の道

花をいけるとしたら、ふるさとを活ける、東信濃の季節を活ける。型や式に拠らず、素通しのガラスの花瓶にその一枝を生ける。どんな時も忘れえぬ風土の彩りを挿す。

草紅葉の道を歩いた。紅葉、黄葉、褐葉、手にしてみれば、色葉の別、億々千万か。 谷を昇る山雲・・・極彩の葉色を天に還し、やがて冬枯れ。

お宮の境内のベンチはひらひらと降りかかる黄金色で埋まっていた。隣にお座りだったご老人に「みごとな銀杏ですね」 と声をかけると、  「私が幼かった時分にはやせてヒョロヒョロの若木でしたよ。…..そうね、私とおんなじ。八十近くになると銀杏も足腰が弱くなるみたいだけど、まだまだしっかと立って…..ほらほら、また、蝶々のように葉が舞い落ちて….」


 

 

 

 

 

 

 

冬支度の鋤(すき)を入れ終えた田んぼの小さな水溜りで、二匹のつながりトンボ。 おいおい、そんなたまり水では卵は冬は越せまい。凍みて、乾いて、また凍みて、フリーズドライになっちまう。一心不乱 

 

 

 

 

せき止めている。あぜ道、草の道、季節の道時の道……..やがて、還ってゆく。